死に戻り令嬢が売れない戯曲家にハッピーエンドを望んだら、世界を救うことになりました。

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 そして、一気に瞳を輝かせた。 「うんうん。初めてとは思えないくらい上手だぜ」 「味付けはかなり濃い目ですのね」 「酒に合うようにできてるからな」  とはいえ、ぐいっとリアムが煽るのはぶどうジュースだ。 「はぁ、生き返った。お嬢さん、恩に着るぜ」 「とんでもないです。わたくしも貴重な体験ができました」 「ははは。いいとこのお嬢さんのささやかな冒険譚か」  (……冒険譚?) 「リアムさん。わたくし、婚約者がおりますの」 「あ? うん、そうだろうな」  突然始まった身の上話に、リアムが姿勢を正した。 「ですが、婚約者が真実の愛を誓う相手はわたくしではありません。そのお相手はとてもお美しい方です」 「……」 「例えばの話。物語のなかでだけ、婚約者とわたくしが結ばれたら、とても幸せだと思うのです」 「……。なるほど!」  ぱんっ、とリアムが両手を叩いた。  クレアの真に言いたいことはきちんと伝わったようだ。 「困難を乗り越えて初恋が成就する物語。飯の礼だ、おれに書かせてくれ」  黒曜石のような瞳が、ぎらりと輝いた。    ***  数日後。  クレアとリアムが再会したのは、リアムが調べてくれたという王都で人気のカフェだ。 「まぁ!」  運ばれてきたアフタヌーンティーセットは、小ぶりながらも見栄えがよくてクレアをときめかせた。
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