死に戻り令嬢が売れない戯曲家にハッピーエンドを望んだら、世界を救うことになりました。

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   *** 『クロムウェル伯爵令嬢クレア。貴様の犯した罪は死をもって償ってもらう』 『お待ちください。オーウェン様、どうかわたくしの話をお聞きください』 『この期に及んで耳を貸す理由などない。聖女シャルロットを貶めようとした大罪人め!』  ――首を落とされる前の最期の光景。それは、婚約者だった男の、侮蔑に満ちた表情だった。 「えっ?」  だからこそクレアは驚いたのだ。  目を覚ますと、そこはよく知った場所。自室のベッドの中だったから。 (生きてる!?)  がばっと上体を起こして室内を見回す。  カーテンも調度品も、記憶と一切違わない。十八年暮らした伯爵家だ。  ぎゅっ、とシーツを握りしめた。  同時に扉がノックされる。 「お嬢さま、おはようございます」  扉の向こうから聞こえてきたのはメイドの声だ。  クレアは寝間着のままベッドから飛び出す。そして扉を開け、はしたない姿だと諫めようとするメイドよりも先に大声で言った。 「今日は何年の何月何日!?」 「えっ? 王国暦二百二十三年、緑の月、二十三日ですが……?」 「ありがとう。支度をするからもう少し時間をちょうだい」  再び扉を閉めて、背中を預けた。  姿見を見る。  栗色の髪も、はちみつ色の瞳も、健在だ。
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