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お子様軍人ジェケット中佐の、今日はカッパ日和 その7
七
「やれやれ、今日も雨だな」
悪夢の授業参観から早、一週間が経過していた。此処、セントラルパークの中央広場で俺様は散歩の最中だった。付き添っている相手は、雨にもかかわらず傘もささずに、噴水の中に入り込んでは全身水浴びしている。
ジェケット中佐だった。
奴さんは未だにカッパ化したままだ。けれども、中国奥地から取り寄せた謎の薬草を煎じて飲ませていれば、近い内にカッパ化も解消する。元通りに戻れるらしい。キュウリをかじりながら、中佐は尋ねてきた。
「どうして、乙女のキスを貰ったのに、ニンゲンに戻らないんだろうね?」
あの時、中佐はルーシーからキスをされたと思い込んでいる。だが、奴さんの唇を触れたモノは別なるモノだ。俺様は真相を語ってやるつもりは無い。
「ルーシーは乙女じゃなかったとか?」
「さあな。ところで、中佐。キスはどんな味がした?」
「う~ん、バラっぽい味かな?」
俺様は思い出す。トイレで手を洗った際に、蛇口に括り付けてあった石鹸は、バラ風味のモノだった事を。
お子様軍人ジェケット中佐の、今日はカッパ日和 了
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