虹恋、オカルテット

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虹恋、オカルテット

              プロローグ 大晦日の夜から降り始めた雪は、辺りを雪景色へと変えた。 数年に1度の寒波とやらが居座り、数日前に積もった雪が未だに溶けずに寒々とした、そして美しくもある景色を保ち続けている。 今日は1月5日、仕事始めの日だ。 男は、朝から取引先へ酒やタオルを持って新年の挨拶へ回っていた。このご時世で時代遅れの気もするが男が住む地方都市では、まだまだ欠かすことの出来ない習慣である。朝から十数件の取引先を回り、残すところあと数件であったが男は焦っていた。 先程から空模様が気になっていたのだ。朝は晴れていた空が段々と曇りはじめ、今では鈍色へと変わっている。 男は北北東の空をじっと見つめる。同じく鈍色の雲の中に、赤?いや赤紫のモヤがかかっているのが見える。夕焼けの色ではない。もっと重々しい色だ。何かとてつもない力を秘め、雲自体がぼんやりと光っているようだった。その重々しさの中に、悪意すら感じるそんな雲だ。 とてつもない怪物を連想して、男は身震いをした。 「相当、ヤバいのが来るな」 そう呟くと、男は吸っていた煙草を灰皿に押し付け相棒のワンボックスカーへと歩き出した。
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