理想と現実の2人

5/7
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
じいちゃんとばあちゃんは、結婚してもうすぐ60年になるそうだ。 私が生まれてから18年。私が知っている2人はずっとこんな調子だけど、実は仲が本当に悪いわけではない。 ばあちゃんが風呂に入っている時、毎日繰り広げられる会話がある。 「じいちゃん、どこ行くの?」 「みーさん、ばあちゃんはどこにいるのかな? ちょっと探してくるよ」 「ばあちゃんは風呂に入ってるよ」 「ずいぶん長いこと入っとるなー」 「そんなことないよ。今、入ったばっかりだよ」 「おう。そうか……みーさん、ばあちゃんはどこかな?」 「風呂だよ」 「そうか。でも、もう出ただろう? ばあちゃんはどこにいるのかな?」 じいちゃんはばあちゃんの姿が見えないと、不安になる。すごく頼りにしているのだ。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!