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ばあちゃんもばあちゃんだ。
「お父さんたらね、寝るときすぐに布団をクチャクチャにしちゃうのよ! いい歳して元気なのね! 私が一晩のうちに何回直してあげてると思ってるのかしら!? お父さんのせいで全然眠れないわ! もうホントにヤになっちゃうわ! お父さんなんて嫌いよ!」
毎日、言いたい放題だ。
だけど、私は思う。
そんなに嫌いでイヤだったらほっとけばいいのに。
じいちゃんはまだ、寒いか暑いかはわかるのだ。布団をはねのけるということは暑いんだろう。きっと、寒かったらきっちりと布団にくるまるはずだ。
嫌いな人とは一緒にいたくないし、話したくもない。
その人がどうなってもどうでもいい、そういうものなんじゃないの?
「風邪でもひかれたら面倒見るのはこっちなのよ」
ばあちゃんは言う。
「きっと一晩に何度も布団をチェックしなくてもいいと思うんだけど。良太郎さんはそんなに簡単には風邪をひかないんじゃないかな?」
母さんは、ばあちゃんのいないところでブツブツ言っている。
「うーん、そうだねえ。本当はじいちゃんのこと、心配なんだろうねえ」
こんな話をしていることは、ばあちゃんには秘密だけど。
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