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◇
「久しぶりー、ただいま。ほら凛も挨拶しなさい」
「こんにちは。おばあちゃん、おじいちゃん」
この日は、娘が孫の凛を連れて家を訪ねてきた。仕事の都合で遠方に住む娘はなかなか帰省するタイミングがない。なので、雄宇一とアナタは孫と会えることは一大イベントと言わんばかりに、この日を待ち望んでいた。
「凛ちゃん、大きくなったねぇ。凛ちゃんの好きなお菓子あげるね」
「ありがとう、おばあちゃん」
雄宇一はさっそくお菓子攻撃をする。この瞬間、顔の表情がとろけているのに自分でも気がついている。
「凛、あっちで爺ちゃんと遊ぶか?」
「うん、おじいちゃん、遊ぶ」
もちろんアナタも凛の喜ぶおもちゃやらゲーム機なんかを用意しておいて、対抗するのだ。
「そうそう、パパも同じ時間に来る予定だったけど、今日どうしても急な仕事が入っちゃって。夜に一人でくることになったから、夜ご飯は無しで大丈夫みたい」
「そうなのね、年の瀬に大変ね。なにか軽く、つまめるものでも準備しておこうかね」
娘の旦那もそれなりの立場となっているのだろうか? 雄宇一は、さりげない娘の会話から、昔のアナタ、もとい和彦のことを思い出し懐かしい気持ちを思い出した。
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