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優しさ
神は、私に仰られた。
「優しさを持て」と。
だから、「優しい」と呼ばれていた人について行くことにした。
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「この世には大切なものが三つある」
我が敬愛する主人は、そう言った。
「それは、金と、権力と、人間関係だ。
だから――――――俺は、お前を解雇する」
「………」
「聞こえなかったのか?
お前を解雇すると言ったんだ。
私は今や、ミリオーン侯爵家当主であり、そして
かの大財閥、ダラー財閥の頂点である。
そんな私に、お前のような、スラムのやつが部下ならば、悪評が立つとは思わないか?
だから、お前を解雇する」
嗚呼、残念だ。
敬愛されていた主人よ。
良い人だと、思っていた。
でも、こいつでは無いだろう。
こいつから「優しさ」というものは学べない。
「優しさ」がなにか、くらいは知っている。
でも、それを理解することはやはりできない。
まぁ、「優しい」を演じることはできるようになった。
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