優しさ

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優しさ

 神は、私に仰られた。  「優しさを持て」と。  だから、「優しい」と呼ばれていた人について行くことにした。 _______________________ 「この世には大切なものが三つある」  我が敬愛する主人は、そう言った。 「それは、金と、権力と、人間関係だ。  だから――――――俺は、お前を解雇する」 「………」 「聞こえなかったのか?  お前を解雇すると言ったんだ。  私は今や、ミリオーン侯爵家当主であり、そして かの大財閥、ダラー財閥の頂点である。  そんな私に、お前(・・)のような、スラムのやつが部下ならば、悪評が立つとは思わないか?  だから、お前を解雇する」  嗚呼、残念だ。  敬愛されていた主人よ。  良い人だと、思っていた。  でも、こいつでは無いだろう。  こいつから「優しさ」というものは学べない。  「優しさ」がなにか、くらいは知っている。  でも、それを理解することはやはりできない。  まぁ、「優しい」を演じることはできるようになった。
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