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「大体何でこんな高級ホテルでやることになってるんだよ…」
騒ぎの事と次第では出禁どころか自分たちの勤め先である、アイ法律事務所にまで影響が出かねないと言うのに…
「え?ここってトオルが予約してくれたんでしょ?」
「は?ヒロが選んでくれたんじゃないのか?」
描の親友二人が同時に言って顔を見合わせる
どうやら同窓会役員な二人、相手が予約したと思い込んでいたらしい
お互いではないと知って、文字通りアングリと口を開いたトオルとヒロに…
「あ、新幹線も在来線も直結してる場所が便利だから、秋ちゃんが任せろって!いやー、グランもタナちゃんも来たがってたんだけど事務所をネコの子供さん達だけに出来ないからって、公平にじゃんけんで決めたじゃ…え?僕何か不味いこと言った?」
そこまで言って、ワンワンは後の三人からの冷たい非難轟々の視線を感じ取った
「「「ワンワン…」」」
「はい?」
「つまりはこういう事?あたし達が知らない内に、ワンワンか、南国でいつまでも多分永遠にバカンスとロマンスを楽しむ気満々な秋ちゃんが、ここを予約した、と?」
地の底から響くようなトモチの声が、本人は抑えているつもりなのだろうが、ホテルの大理石調の床に谺する
「ぼ、僕じゃないよ!」
冤罪とはこうして捏造されるのか…と焦りに焦りながらワンワンは否定してみせる
因みに場所が披露宴も出来る場所だけに、音が響き過ぎる為、全員小声なのだが
これが普通に居酒屋の貸し切りなどなら…警察を呼ばれるでは済まないレベルでの揉め事になっていただろう
「「「秋ちゃんめ…自分は不参加だからって…」」」
そう、その予約したのであろう当人は、ずっと思い続けている恋人との生活を優先し、今後は同窓会への参加はしないと豪語していたそうだ
これは電話を受けたワンワンの発言
「そりゃ大体ネコが同窓会に来たがらないんじゃあ、ねぇ…」
「秋ちゃん目当ての男連中とか後輩連中は、さぞやガッカリするんだろうなー」
「まあねぇ…あいつが生きてる事知ってるの、あたし達だけだもんね…」
三人から流石にあきらめムードが立ち込め出したところ、ワンワンがポンと手を打った
「あ、秋ちゃんが会場とか料理代、殆ど支払ってくれてるって!」
…どおりで…
高級ホテル宴会場の一室を借り切っての同窓会なのに参加費が樋口一葉先生1枚でお釣りが来るのは、そう云う事…
でも…秋ちゃん一人の収入で賄うにはちょっとハイソ過ぎるような…
「…ネコだな…」
「ネコよね」
「ネコしか居ないわよね…」
しかし…南国の小島をひとつポンと買い、この先働かなくてもあの子達を一生養える額って…ある意味友人として怖いモノが…
あいつ、行方不明になってた間、ナニやってたんだろう…
四人の頭を色々な悪い想像だけが駆け巡った
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