戦いは始まった

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戦いは始まった

白とベージュを基調とした大広間では 久しぶりーだの何年ぶりーだの変わらないわねーだのと、同窓会にありがちな会話が其処彼処で交わされている会場へ、四人は意気揚々と…いや二人は意気揚々と、残る二人は溜め息をつきつつ、入って行った 勿論受付で樋口一葉先生1枚に対して、夏目漱石先生が二人手元に帰って来られたのだが 先ずは…高2高3と「迷惑」を掛けた担任に挨拶に行くべきだろうと、トオルとワンワンが強く主張したので、ヒロとトモチも渋々ながら付いて来た 二人はこの担任が苦手だったのだ 「何が」と尋ねられると困るのだが あとは…これからヒロとトモチがやらかすであろう悪戯…いや復讐劇に先手を打ち謝罪の意味も込めて、丁寧に挨拶しておこうと言う二人なりの思いもあったのだ 「そうですか…伊達君は今も行方不明のままなんですね…伊藤さんは…やっと伊達君の事が忘れられて、幸せを掴むことが出来たんですね…元気な姿が見られないのは残念ですが」 四人で口々にネコが行方不明のままな事、千秋がもう同窓会に顔を出さない事を報告する 本当はあいつピンピンしてるんだけど…と若干の罪悪感は感じつつも ん?何で秋ちゃんがネコの事が好きだって知ってるんだ?四人の頭の上にハテナマークが浮かんだところ 「ああ、それなら…」 授業中、千秋の視線がよくネコの寝姿に向いていた事 放課後の教室で時々二人っきりでアコースティックライブを嬉しそうに楽しそうにやっていた事 ネコの行方不明の報が入ってから暫く、同窓会で見る度に頬が痩けていた 等等… 秋ちゃん…バレバレじゃん…そんな前からって…知らなかったのネコだけかよ…まあ先生のその認識も若干ズレてて、その二人は南の島で一緒に暮らしてるんだけど…あ、二人っきりじゃあないか と、このように四人の頭の中で同じ言葉が浮かんでいた と、同時に肩の力がスッと抜けた気がした が、その内の二人は これで遠慮なく復讐が出来る、やってやるかんな!! そう強く心に決めた瞬間でもあった 「「トオル、ワンワン、標的を捜してきて!」」 手近のテーブルのローストビーフに手を伸ばした姿勢で男二人が固まる 「ええっと、ヒロさん?トモチさん?俺達も会費分のモトを取りたいんですけど…」 「そ、そうだよ!僕まだシャンパン一口しか飲んでないんだけど~?」 …トオルとワンワンが当然と言えば当然の、抗議の声を上げる 「「五月蠅い!ローストビーフやシャンパンくらい後でいくらでも飲み食いしろ!!先ずはネコの仇が先だろうが!!とっとと会場回ってアノ女捜して来いっつーの!!」」 ステレオで命じられては…トオルがため息と同時にシャンパングラスと空のままの紙皿をテーブルに置いた ワンワンも名残惜しそうにしながらそれに続く
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