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silent revenge
「ワンワン、準備良い?」
久しぶり、などと掛かる声を軽くいなしながら前をヒロ、背後をトモチに押さえられては腹を括るしかない…
力無く頷き、両手に手品さながらにトランプ状に広げてみせたのは、今回の件のキモになる代物
「ねぇヒロ、トモチ…今ならまだ間に合うと思うんだけどな…あ、いえ、何でもありません…」
翻意させようと声を掛けるが、前後からの圧には到底敵わず…
前後にいる仲間たちから途轍もない「闇」や「暗黒の世界」を感じる…
音もなく隣にトオルが来てくれたのが、ワンワンにとって少し心強かった
…いや、もしかしたら自分を逃がさない為にスーツを掴まれているのかもしれないが…
一行は人波を掻き分け、目標とする卓へとひっそりとステルスに接近して行く
ターゲット認定されているのは、高校時代の描の元カノで
自身が浮気していたにも関わらず、正反対の事を周囲に撒き散らし、描との関係に終止符を打った
何故それをヒロやトオルが知っているのか、疑問に思ってくれる読者もおられるだろうから種明かしするが
偶々繁華街に千秋と描を除くshoottの面子で買い出し中に、見知らぬちょっと金持ち風の男と腕をねっとりと絡めて歩く描のカノを発見したから
ん?今日描がこの場にいないのは、確かカノからスケジュールを押さえられたからのはずだが
かの高校で美少女コンテストなんてやろうものなら間違い無く上位に食い込む、そう言われているオンナだし、仲間のカノだ、よもや自分達が見間違えるはずもない
そこからの彼らの行動の変更は早かった
当時大流行していた使い捨てのフィルムカメラを買い込み、二人を尾行する事になったのだ
グランが指示を出し、
カップルを装い二人を尾行する者
通りの反対側に回り二人の急な動きを警戒する者
そして最後にトオルとトモチが二人を追い越し、使い捨てカメラで隠し撮りと、大学生としてはほぼ完璧な布陣を敷いたのだ
作戦はここまで上手く行くものなのか、描のカノと連れの男は昼間は地味なそう言う宿泊施設へと迷うことなく、入って行ったのだ
これを逃すshoottの面子ではない、手持ちのフィルムがなくなるまで、顔がはっきりと写るような写真がバッチリ撮れたのだから
ただ、その現像した写真を見た描の反応が彼らの予想外で
言葉少なに
「ふーん、やっぱりか」
だけだったのは正直拍子抜けしたものだが
それから程なく二人が別れたと噂が流れ出した
しかも原因は描にあり、束縛がキツい、暴力をふるうなど、無実の罪で
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