一人立ち計画

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暫くツノウサギを狩りまくっていると、甘い果実のような匂いが鼻腔をくすぐった。 「ワン!!」 「どうしたのイヌクサ?」 反応したアルマが付いてくるのを確認しながら、匂いを辿ると… 「あ!凄い!モモモの実だ!!」 背の低い木に、モモにソックリな果実がなっていた! ただ、ハート型の地球のと違って4つに割れている。 「偉いぞイヌクサ!犬って思ったより鼻が良いんだね!」 モモモの実を2つ取って、1つ俺の前に転がしてくれる。 パクリ… ん〜ん 美味いぞ!モモソックリだが、特有の香りとトロリとした果肉、そして甘味はモモを超えている! 「美味し〜!買うと高いんだよねコレ!」 アルマも頬に手を当てて堪能していた。 木を見ると、まだまだ生っている。 沢山取れば売れるのでは無いだろうか…? でも、持ち運べる量には限界がある。 俺のアイテムボックスを使えばその限りじゃないけど… う〜ん……よし! 俺は意を決して、アイテムボックスからツノウサギを目の前に取り出すイメージをする。 …が! あれ…?出ないぞ…? 何回か試してみても全然ダメだ。 試しにいつものように口の中から出るイメージをした。 …お!出た!! 「おい」 それを見たアルマが顔をしかめる。 女の子がおいは無いだろ… 「ワンワン!」 続けて、2羽程ツノウサギを出すとドン引きした表情をされる。 俺は複雑な気持ちになりながらツノウサギをしまうと、モモモの木を見ながら吠えた。 「…もしかして、空間魔法の収納…?」 おお!そんな感じだ! 「ワン!」 「…それ、人前で使ったらダメだよ!狙われるから!前に村に居たジョナが空間魔法を使えるのを知られた時、王都の騎士に連れて行かれちゃったんだ…。」 そんな事が… やはり、アイテムボックスしかり空間系の能力は貴重なようだ。 「ワン!」 「それにしても…ふふ、私ってやっぱり運が良いのかも!空間魔法が使えるペットなんて聞いた事無いもん!…そうとなったら…」 ニヤッと笑ったアルマは、物凄い勢いでモモモの実を収穫し始める。 木からもいでは、俺の開け放った口に詰め込みまくる! 「ふ〜!」 暫くして、熟した実を根こそぎもぎ取って満足気な表情をしたアルマ。 顎が少し疲れた…。 「いい子だイヌクサ!またモモモの木が近くにあったら教えてね!」 「ワン!」 早速探そうと、地面に鼻を当ててみたが目の前の木の香りが強過ぎて少し離れないと探せそうに無い…。 また匂いがしたらにしよう。 それにしても、ハードだ… 朝からほぼずっと動き回っている気がする。 異世界人の体力が多いのか、アルマのガッツが凄いのか… どちらにせよ、俺はついて行くしかない。
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