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誰からも愛されるようにという意味で名付けた、我が娘。
今では母親の私より、凛花に抱かれている時のほうがおとなしい。
それくらい、この姪っ子が家族として馴染んでいるということ。
「伯母さん、私が見てるから料理してきたら?」
「でも、宿題があるでしょ?」
「そんなのとっくに終わってるし」
「明日の用意は?」
「それも終わってる。夕飯前のお風呂掃除も終わった」
そう言って挑戦的な目を向けてくるのは、まだ幼さの表れだと安心する。
けれど凛花は、全く手がかからない子どもだった。
それなりの苦労をしてきたからか、若くしてモデルや女優として活動していたからか、実年齢よりはかなり大人びているのは間違いない。
「じゃ、お願いしようかな?」
「その代わり、美味しいの作ってよね」
「任せなさい!」
キッチンに戻り、リビングで遊んでいる二人を見つめる。
仲睦まじい様子は微笑ましいのだが…どうしても気がかりなことがあった。
凛花が、大人の顔色をうかがうことだ。
それを隠しているつもりでも、私には分かってしまう。
そんな時は、どうしても胸が痛む。
あの子から母親を取り上げたのは、この私。
でも、母親から凛花のことを救い出したとも思っている。
あのままじゃ、絶対に良い方向には進んでいなかった。
だから私は今、二人の娘の母親でもあるんだ。
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