積み木の星。

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 M103、この惑星は地球より若く、活火山が数多く活動をつづけており、そのために小地区孤立地帯ポケットも多い。   地殻変動により、活発化した火山から吹き上げられた石灰岩の灰が何層にも降り積もり、長い年月が経過するうちに、白っぽい砂岩で構成されたホワイト・ポケットが不思議な風景を構成している。  地質によっては似たような光景が地球でも目にすることができるが、しかし、理屈ではわかっているものの、この大地に立つと、調査隊員たちはみんな異質な惑星にいるのを思い知らされる。  砂が風に揺られるうちに火山灰が流体の特徴を残したまま固まっており、惑星全体が何層も重なった溶けたアイスクリームのようで、まるでシュールリアリズムの絵画の中へ飛びこんだかのような錯覚を起こしてしまいそうになる。  第一次調査隊によれば、地質は大理石と同じ結晶質石灰岩だ。  これがコンクリートのように砂を固めたわけで、ところどころに落ちている石は、みんな石灰が水分で溶けて周辺の石を含んで固まってできた《さざれ石》だ。  そのいくつかで新種の植物の種が採取された。  どうやら、長い年月の間に石灰岩の中に閉じ込められてしまったらしい。  第一次調査隊のランバート隊長は興奮して息を弾ませた。  見た目は化石だが、一応、中を確かめたら、どの種も生きていたのだ。  「よし、さっそく適度な環境で栽培してみよう」  その中で第一次調査隊は大変なものを発見してしまう。  《三センチの人工物》  そうとしか言えない機械を《さざれ石》の中で発見したのだ。  《ソレ》をランバートは小石を意味する《pebble》と名付けた。  《pebble》はブロック状の機械だ。もちろん機能などしていないが、先住生物が高い科学力を有していたのが分かる。  ただ不思議なのは動物の骨や化石は出るものの、肝心の知的生命体らしき骨も化石も出てこない。  「これは不思議だ。《pebble》の数の多さから考えても、惑星中に繁殖していてもおかしくないのに!」  ランバート隊長は首を傾げるばかりだ。  さて《pebble》の用途だが、地質学者と大気を調査する気象学者、生物、植物の研究者で組織された第一調査隊では皆目わからなかった。  そこで工学、ロボット工学などのエキスパートが多く参加した、われわれ第二次調査隊が組織されたわけだ。  地球に持ち帰られた《ソレ》は連結することで、なんらかの機能を発揮するのが分かったが、三センチの箱型の機械では用途に限りがある。たぶん医療用ではないかというのが大方の見解だった。  「たぶん、血行を良くするとか、病気の診断をする聴診器みたいなものとか」と、ランバート隊長は報告書に記入していたが、現地に行ってみると、医療器具なんて、とんでもない。その惑星では頻繁に電波での交信が飛び交っているのが分かった。  受信してみれば、未知の言語だ。  「滅びたと思われていたが、まだ知的生命体がいるらしい!」と、俺たちは喜んだ。  が、いくら地表を宇宙船のセンサーで探査しても肝心の知的生命体の姿がない。  石田隊長は「こちらを警戒して、地下で様子を窺っているのかもしれないな」と、眉をしかめ、「まず探査ロボットを投下してみよう」と、命じた。  投下したら、交信しているのは知的生命体ではなく、地面に点在する《pebble》だと判明した。なんと機械の多くは故障もせず、完全に機能していたのだ。すぐに石田隊長は通信の解読を科学開発班の池山さんに命じたが、なんせ初めて耳にする言語だ。こちらの量子コンピュータでは時間がかかる。  念のために、さらに探査ロボットを投下したら、それがまずかったらしい。この惑星は前回の調査隊には見せなかった、新たな顔を見せ始めた。  多数の《pebble》が探査ロボットを攻撃したのだ。  連結してビーム兵器と化した《pebble》は一瞬で、こちらのロボットをバラバラにしてしまった。どうやら軍事目的の偵察ロボットと勘違いしたらしい。
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