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次の日の朝、一階に降りると、母と姉、そして姉の旦那さんと息子の四人が大きなちゃぶ台を囲んで食事をしていた。
「ごめん、お母さん。寝ちゃってた。片づけは私がするから」
「ええよええよ。実家に帰った時くらいはゆっくりしたらええから」
私と美波はちゃぶ台につき、朝食を取る。人が作った料理を食べるなんていつ以来だろうかと考えてしまう。
「で、家に帰ってきた理由は何なん?」
隣に座る姉が、ぐっと顔を近づける。こういった人の気持ちを汲まないのは関西人の悪いところだと改めて思う。
「やめなって。そんな話はしないで、楽しく食事をしようよ」
姉の旦那さんが、あたふたしたながら言う。姉は「ふん」と口をへの字にしている。
「ねえ、名前はなんて言うん?」
姉の息子、拓也くんが、口をもぐもぐさせながら娘に聞く。
「私は、美波」
「へえ、ミナミちゃん。僕は拓也。この後、ゲームして遊ぼうや」
彼女は目をぱちくりしていたが、おそるおそるうなずく。
「はは、やっぱり子供は仲良くなるのが早いなあ」
微笑ましい光景に、母がまたニコニコしながら言った。
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