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「あんた、旦那さん置いてきたん?」
コタツでぬくぬくと温まっている姉が、口をあんぐりする。
「うん」
私は肩からスポーツバッグをおろす。
「なんでなん。浮気? ギャンブル? それとも、DVか」
「いや、どれもちゃうけど」
「ふうん、そうなん」
彼女が納得できないような表情を浮かべている。
「まあ、ええやん。久しぶりに実家に帰ってきたんやから、ゆっくりしいや」
同じくコタツに入っている母が、ミカンを食べながらニコニコとしている。
「うん。ありがとう。ほら、美波もあいさつして」
私の後ろに隠れている娘の美波が、こくりと首だけ動かす。
「美波ちゃん、久しぶりやな。何年ぶりかな。大きくなったなあ」
姉のバカでかい声に、美波は眉根を寄せている。
「二階の部屋、好きに使っていいからね」
母の言葉に、「分かった」と返事して、美波の手を引き、二階へと向かう。
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