都市伝説 1

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2 そのドアは、アルミで出来ているのであろうか、 大きさの割には重さを感じさせない。 だが、長い年月の為か汚れが酷く手に汚れが付く。 中に入ると、何と無く肌寒い、そして異臭がする。 「何か、臭うね」 と、僕は少し怯えて言ったが、 雄一君は何も応えてはくれない。勇敢にも奥に入って行く。 ビルの中は薄暗く、数歩進むと階段があった。 「昔、ここはアパートだったらしいよ」 と、雄一君が階段を上がりながら、振り向き 僕に言った。 「アパート?!だったら此処には多くの人が住んでいたんだね」 と、何故かホッとする気持ちが湧いた。 「でもね、此処で何かあったらしよ」 と、雄一君が後ろにいる僕に聞こえる様に 少し大きな声で言った。 「何かって何?」 と、僕の声も大きくなる 「知らんけど?!誰かが言っていた。 此処で殺人事件があったとか、飛び降り自殺があったとか、そう言う噂があるんだってこのビルは。」 「なんだか、いい加減だね。噂なんてあてにならないよ」 と、僕は恐怖心を抑えながら強がるように言ってみた。 2階に上がると、目の前に廊下が見える。 右手の壁には埋め込まれた窓があり、そこからの日差しで明るさは保たれてはいるが、不気味な感じは否めない。 廊下を歩いて行くと左側に個室のドアが何室も並んでいた。 「誰か居ませんか?」 と、雄一君はおどけてドアをノックしている。 「居る訳なじゃんか!そんな事するなよ。 誰か居たら怖いし」 と、僕は大きな声で咎める様に云う 「居る訳無いのに、居たら怖いって矛盾するぞ。何言ってるんだ!」 と、怒ったのだろうか言い方が少し強い。廊下を歩いて確認すると、ドアは6枚あった。 部屋の数は6室だ。 「このビルは、4階建てだったね。だとすると、24室あるんだね」 と、僕は独り言の様に呟いた。 「全部が同じ造りだとは、限らないよ。上にあがろう。」 と、雄一君はまた、階段を昇っていく。
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