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その夜僕は、今日の事を思い出していた。
あのビルはいつからあったのだろうか?
何故廃墟ビルになったのか?
中に入った感じは、まだまだ住めそうな気がした。
……お父さんなら知っているかも知れない。……
と、思って聞いてみた。
「お父さんも、転勤でこの町に来たので良くは知らん
第一、廃墟ビルがある事も今日初めて聞いた」
と、そう言えば僕もこの町に去年来たばかりだ。
「先生に聞いたらどうだ。」
僕のお父さんは、転勤族で今までに何回か転勤している。
その度に僕と兄は転校を余儀無くされた。
母は、僕が小学三年の時に病気で亡くなった。
僕には二つ上の兄がいる。
今、高校一年生で高校の寮に住んでいて、僕はお父さんと二人暮らしだ。
僕の家は、アパートで部屋数は三部屋ありお父さんの部屋と僕の部屋は別々で使っている。
二人暮らしなら不便は無い。
夕飯は、お父さんが作ってはくれるが、いつも同じ物の様な気がする。時々外食したりするので満足はしている。
次の日学校に着いて見ると、雄一君がまだ来ていない。
雄一君はいつも僕よりは早く登校するのだが、今日は遅いみたいだ。
始業のベルが鳴るのに雄一君は来ない。
……どうしたのだろう?雄一君は。……
と、心配になった。
その時である。
僕の耳元で囁く声が聞こえたのは!
……三浦雄一は死んだよ……
と、・・・・。
僕の身体は一瞬にして氷結した
全身に悪寒が走り、急に目眩も覚えた。
空耳かとも思ってはみたが、この身体全体に感じる冷たさは
現実に起こっている。
声を出そうとしても、声が出ない。
クラスメートは、授業の準備に入り先生を待っている。
暫くすると、幸いな事に
氷結された身体は徐々に溶けっていった。
だが、身体には感電したかの様に少しの痺れが残っている。
……キット空耳だろう。雄一君が死ぬはずが無い!
昨日あれほど元気だったんだ。……
と、自分に言い聞かせていた。
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