都市伝説 1

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7 だが、恐怖は治らず、震える僕ではあった。 時は自然と過ぎていく。 ……明日は僕か、兄のどちらかが死ぬことになるのか?…… と、僕は眠る事が出来なかった。 ……あの壁に名前を書いたら死ぬのであれば、他の三人も既に死んでいるのか?…… との疑問もあったが、 ……そんな事は無い!…… と、確証も無く打ち消していた。 そして、静かに朝を迎える。 今のところ僕は生きてる。 兄はどうなのかわからない? 僕は今日一日、恐怖に怯えて生きていくのだ。 こんな辛い一日があった事は、今まで無い。 兄の安否も気になるが、何かがあれば連絡が来るはずだ。 「便りが無いのは無事な証拠」と言う言葉も有る。 兄に余計な報告はしないで、今日を待とう。 僕は普通に朝食を済ませた。 父との最後の食事かも知れないと想うと、涙が滲んだ。 「何で、泣いているんだ」と、訝しがる父を見て、また 涙が溢れ出す。 「別に何も無いけれど・・・・」と言う僕に父は言った。 「昨日、お前のクラスメートが、亡くなったんだって! 昨日、学校から連絡入ったよ。その事で泣いているのか」 と、父が聞く。 「うん」と頷き下を見る僕。 「そうか。悲しいよな。クラスメートが亡くなったら」 と、父の声も沈んでいる。 ……今日は僕かも知れない。お父さん、僕が死んだら悲しむだろうな。…… と、思った時悲しみが倍増したのか、涙が止まらず流れ出す。 「そんなに泣かないで、男だろう。さあ、涙を拭いて学校に行きなさい」 と、父は僕を励ましてくれた。 学校に行く道は、いつもと変わってはいない。 だが、今日で最期になるのかと想うと、観るもの全てが新鮮に感じる。 道の淵に咲く雑草達も可愛く思えた。 僕はいつもとは違いゆっくりとした歩行で街並みを観察した。 本当に不思議で有る。今まで観ていた景色が今日はまるで違う。 そんな事を思いつつ歩いて行くと、自然と学校に着く。 いつもクラスメートがいる。 みんな、雄一君の事を思っているのか、表情が暗い。 「おはよう」と、挨拶して自分の席に着く。 斉藤君が僕の所に来て話掛けてきた。 顔色が少し悪い 「ねえ、聞いたんだけど、三浦君と一緒に橋田君、あのビルに入ったの?あのビルは噂のビルだよ。」 と、聞いてきた。 「噂って何?どんな噂?」 と、僕は恐怖を感じながらも、冷静に尋ねてみる。
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