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俺だったら、こんな顔をさせない。
いつだって彼女には笑っていて欲しい。
山本に惹かれていることに、気づいた瞬間だった。
そこからは、自分でも驚くくらいの余裕のなさで、期間限定の同棲まで提案してしまった。
「次の家が見つかるまで」なんて、自分で言わなきゃ良かったな……と今となっては溜め息が出てしまう。
***
なかなか山本が帰ってこないので、電話をして今どこにいるか確認することにした。
「もしもし、山本? 西園寺だけど、今どの辺にいる?」
『……今、マンションの近くの公園です。もやもやして、散歩してました。ご心配おかけしてすみません、すぐ帰りますので』
「傘持って行くから、待ってろ。
あ、ちゃんと屋根のある所にいるんだぞ」
電話を切ると、すぐに家を出て近所の公園に向かった。
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