暗殺者でも人を好きになっても良いのだろうか

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深い霧に囲まれた森の中の集落で俺は産まれた。その集落は暗殺者一族の住む集落で、俺は幼い頃から暗殺の為に生きてきた。 まだ幼い頃から暗殺を始め、最初は失敗をして拷問にかけられそうになった事も幾度となくあったが切り抜けて俺は今に至る。 集落の者は皆実名をもっておらず、付ける面によって名前が決まり俺は黒い狐面を付ける為黒狐(クロコ)と呼ばれるようになった。 今日も長老に暗殺依頼を託され、俺は集落を出て霧を抜け目的の地へと向かう。夜にその地へ着いたがそこは大きな街で、遠くには微かに目的地の城が見える。 今回の依頼は第四王子の暗殺。夜とはいえ人々の行き交う大通りを避け、闇に紛れて城へと向かう。城門には門兵達も居たが、門を駆け上がり越えて敷地内へ降りた。 事前情報により標的の部屋の場所も知っているので外壁を上りその部屋のバルコニーへ降り立ち窓に手をかければ開いたのでそのまま音を立てずゆっくり開ける。 カーテンを避け中へ入れば部屋の中は明かりもなく、俺はそのまま中へ入りベッドの上の膨らみに歩み寄り懐からナイフを取り出し振り上げたがハッとして布団をめくる。そこには丸められた絨毯があり、振り向いてナイフで自分を守れば剣が振り下ろされ刃がぶつかり合う音が響いた。
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