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時間は、深夜を回っていた。
島原は、勘解由小路を消した僕悪魔への詰問と、付き合っていた彼女からの電話応対とで、一時的にパンク状態に陥っていた。
「いや、ちょっと待って欲しい。え?セクハラの塊?それは土下座した議員だろう?違う?ああ、あいつのことは帰ってから詳しく説明する。いつ?いや、それこそ待ってくれ。今それどころじゃ」
そこで島原は妙なものを見た。
{「どうぞ、電話をお続けになってください。貴方様のことはよく聞いております」}
ん?筆談?スケッチブックに、マジックで?
ああ、お面だもの――な?
「いや、それはいいのだが、消えた理由は?どうやったのだ?」
{「さて、ご主人様から、撮れと」}
「なら、どうやって出る?」
{「解りかねます」}
「奴は、生きているのか?」
{「それも、解りかねます。空間が、閉ざされているようで」}
「奴とは連絡は?」
{「取れません」}
「ええい!使えん!あ?!志保違う!君のことを言った訳で――あ」
切られた電話を、恨めしそうに見つめていた。
そのまま、三田村さんに視線が動いたので、慌てて執事は、
{「ご主人様なら、信じて待てばきっとお戻りになられますよ?それまで、茶などはどうでしょう?」}
帰ってくるのか。あいつは。それまで、島原はジリジリした時をすごすことになりそうだった。
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