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勘解由小路の回想
俺は、勘解由小路降魔さん。何か、魔上皇とか呼ばれていたおっさんだった。
「マーコちゃん♡お腹いよいよ育ったねー♡ああスラーイド♡」
キュウウウウウウン♡爬虫類めいた声を上げて、妊娠後期の勘解由小路の妻、真琴は嬌声を上げて、夫の射精を子宮で受け止めていた。
あー。体の復帰も刻一刻だ。ここまで体が動くようになった。
入院中は、興津に根来、通いの狩野山さん、あとは一般のナースが4人くらいいて、みんな俺に跨っていた。
みんなには世話になったなあ。後遺症の一種か、俺は常にボッキンキンだったし、島原まで、殆ど毎日見舞いに来てたし。
ただ、あの時はトキも本気で、俺の体を治そうとしたな。
まあ、やっぱりだぞ?トキ。
俺はベッドに寝たままでそう言い、トキは、己の無力さに打ちのめされているようだった。
「大体3億か。普通の人間なら、多少は改善も見られたようだがな?俺はこうらしい。おい、ミカン剥いてくれ」
一瞬で、ミカンを綺麗に剥き上げ、皿に積上げた何かを、忌々しそうに見つめ、トキは、
「左様で・・・・ございますか」
「ついでに、こいつ等のことも認めろ。まだガキだった頃、デカ鯉にカグ諸共引き込まれそうになった時も、その後、正――あいつの目の前でトラックに轢かれそうになった時も、こいつ等が助けてくれたんだ。まあどうせ、俺のジジイの命令だとしても、な?」
ああ。どうせそうなのだ。クソ変態のくせに、孫には甘かった。細のカス野郎は。
杖を突き、ベッドから立ち上がった俺は、
「退院な?これで。今更道玄坂の家に帰る気はない。ジジイが見付けたあそこだ。あの家に住むことにしよう」
そう言って、俺は病院を出ていった。
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