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「全くけしからんですよ。ますます格差が広がる一方じゃないですか。我々弱者男性には結婚するなってことじゃないですか。ある意味優生思想ですよ。差別ですよ、差別」
そう語るのは自営業を営むCさん(顔出しNG)。Cさんは結婚希望でマッチングアプリに登録しています。
「俺はね、パートナーシップなんかじゃなくて結婚がいいの。皆お前まだ結婚できないのかって五月蝿いんだから。できないんじゃなくてしないの! 余計なお世話だよ!」
マッチングアプリの登録には結婚かパートナーシップの希望を入力する項目が増え、マイナンバーとの紐付けが必須となりました。既婚者は登録自体が弾かれるようになり、虚偽のプロフィールを設定することができなくなりました。
これは社会プロフィールと呼ばれ、その人物のステータスを嘘偽りなく表示します。
「仕事の合間を縫ってメッセージを送ったら、パートナーシップ希望だからと断られるばっかりですよ。結婚でなきゃ意味ないっての! あんなのサクラですよサクラ。これは政府の陰謀ですよ、陰謀。弱者男性の遺伝子を淘汰するための!」
(Cさんが携帯端末を投げ付ける。その拍子にカメラの位置が動く)
「オイ、今顔映っただろ。なぁ。止めろ。消せ。消せっつってんだろ!」
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