レトロ その後

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レトロ その後

長年現役のデザートの保冷用の小箱をみつけ、 二人は「覚えてる?」とくすくす笑った。 あれは十年前。 パテシエは成人式の会場からサイドテールの彼女を一時、寒い外へと連れ出した。 保冷用の小箱[「まだ使ってたんだ?」「当たり前だろ大切な記念品なんだから」]を差し出す。 「サプライズ!」 苺の果肉が赤い薔薇のシャーベットが目に映る。初めて会ったあの時を思い出す。 「食べたかったんだろ?食べていいよ!早く食べないと溶けちゃうよ」とパテシエは照れ隠しの様にまくし立てた。 「ねぇ」寒いねという彼女は「知ってる?赤いバラの花言葉」と顔を赤くして聞くから「あなたを愛してます」とパテシエも赤く顔を染めながら言った。 「良かった。こんなの要らないって投げ捨てられなくって」というパテシエに「そんな事するわけない」と彼女。 するとパテシエが話す「シャーベットは成人式おめでとうの為に、特別研究して作ったんだ」と、で、「振り袖や袴じゃなくってあの日のドレスだね。 寒くない?けど似合ってるよ。綺麗な髪はあの日とは逆に結ったんだね」と言うと、わかる? 「げんかつぎなの」パテシエの車の中でシャーベットを食べ、彼女は会場へ「成人おめでとう」を終えに戻った。 そんな過去を振り返った二人は仲良く体と体を寄せあった。 了
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