目付きの悪いウサギ 其から

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目付きの悪いウサギ 其から

「紀子ちゃん」春日は思いきって声をかけた。 一時間目の授業が終わった学校の廊下で。 ツレ達は別の場所で別の事をしている。紀子ちゃんと仲良くなりたいと言った春日の気持ちを尊重して。 「ともだち達はどうしたの?」素直に紀子は春日に聞いた。 「私が紀子ちゃんと仲良くなりたいから、努力を叶えさせて」「って懇願したから、みんなで別の事をしているよ」あわあわしながら、なんとか春日は説明できた。 「ふうーん」と息をはいた紀子ちゃんは次の様な事を言ってきた。 「お昼一緒にご飯を食べるだけなら可能かな。今んところ」嬉しいと思う言葉の次は以外な言葉だった。「でも、私食べ物を美味しく食べたいから、集中して食べたいから、屋上で二人っきりで、会話は無しでOK?」 ひゅるりらら。寒い。 それでも一緒に何か出来ると気がついた春日は、こくんとうなづき「よろしくね」と言った。 そうして二人は二人きりでお弁当を食べる仲になった。そんなある日、紀子ちゃんが、水筒を二本、学校に持ってきた。 それと一緒に、どんべいのきつねうどんが二個。 それお昼にたべるのかな?と春日は紀子ちゃんて不思議、天然?とか思って一緒に屋上に行くと、ポットとどんべいきつねうどんを渡された。 「一人でおかわりじゃなくて私の分?」と聞くと紀子ちゃんは嬉しそうに、そうと可愛く笑った。 なんでも紀子ちゃんは、どんべいのきつねうどんの七味が食べれる様になったらしい。そんな事ではしゃぐ紀子ちゃんは可愛いなと春日が思ってたら、紀子ちゃんは春日の分の七味を春日の分に投入して、一生懸命全体に混ぜ合わせてくれた。 「ありがとう」と言った七味うどんが初めての春日は「ままよ」と言ってうどんを数本すすって咀嚼してみた。 「美味しい」 それは揚げの甘さを中和した大人な味だった。 「でしょ」と笑う紀子ちゃんは、やはりとても可愛かった。 了
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