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11「続試煉」【三竹・尾中side】夢鴉(むあ)リライト
【三竹・尾中side】07
「もううごうごは寝かしてやりな」
と言えば、尾中は残念そうにしながらも他の鳥を見に向かった。
彼女の目に留まったのは、中雛(クライシスだった)桜文鳥。彼女の目が輝く。
その紅い嘴とアイリング、艶やかなグレーの羽美しさ、キリッとしながらも美しい頭と尾羽の黒色……可愛い! 何度も見ている自分が思うのだから、彼女もきっと思うだろう。
目がハートになっているのが見て取れる。
薄灰色と微妙な茶色が混ざった、頬の白以外の羽毛。
可愛らしい目に黒い嘴に馬蹄斑、そして淡い足、指、爪!
「一緒に暮らしたい……」
ぼそっと呟いた彼女の言葉を、俺は聞き逃さなかった。
【三竹・尾中side】08
ブリーダーと話をしていれば、尾中が意識朦朧とし始めているのに気が付く。
桜文鳥の中雛をブリーダーに預け、俺はお茶を持ってくるようブリーダーの人に頼み、尾中を椅子に座らせた。
よく見れば顔色が悪い。
するとふわっと尾中の体が傾く。慌ててその体を支えた。と思えば、「ありがとう、エリートな先輩……」と言って気を失ってしまった。
大変だと救急車を呼ぼうとすれば、おかみさんから彼女がツキモノである事を聞く。
結局、数社回る予定を変更し、運転を代わる。
目を覚ました尾中にクレミアというラング・ド・シャがコーンな濃厚ソフトクリームとブラックの珈琲を奢れば、嬉しそうな顔をした。
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