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引用③夢鴉(むあ)リライト
文鳥学講座
第5回 ー文鳥の色彩遺伝ー
「どんな姿になるのか知りたいのだ」
⚫コラム
純白でない文鳥を、すべて桜文鳥とする事は可能な限りやめるべきだと、自身は思う。胸の白いぼかしが桜吹雪のようだから桜文鳥なのだが、どうして桜のぼかしがなかったり、まして白地に部分的に色がついた程度のものを桜と言えるのか。語義の上の理由を考えると、おかしいと思わざるを得ない。
だからといって『桜』または『パイド』として一括りにすべきでもないだろう。遺伝的な区分以前に、標準型(元となる品種)が無ければいけないと、私は考える。それがない状態で、品種などの固定など、到底出来るわけがない。また、曖昧なままでは、かえってぼかしのない原種色の文鳥や、ゴマ塩容姿の文鳥の美点を無視することにもつながりかねない。つまり、私は見た目から、三つに明確に区分けされることを主張し、それぞれの標準型に近づける努力をすべきだろうと考える。(とはいえ、私の理屈ではゴマ塩の定着は不可能かもしれないが。)
私としては、以下のように分けるべきだと考える。
①原種【ノーマル】文鳥
②桜文鳥
③ゴマ塩【パイド】文鳥
① 原種文鳥
アゴが真っ黒で胸にぼかしがない、白い差し毛のない文鳥はいかなる配合でも、“原種文鳥”と考える。
色彩・配色にメリハリがあり、精悍な印象を与えるので、文鳥としての美しさがぱっと見で判断できる種類だ。
※最近桜と称して出回っているものを見かけるが、私はシナモンやシルバーの繁殖実験による産物ではないかと疑っている。
② 桜文鳥
原種に所々白い差し毛の入ったもの。当然、胸にぼかしがなければならない。
アゴ、羽、頭に白い差し毛があっても、全体的な配色が存在するものはこの範疇に入れておく。だが、今後純化する方向で進んでくれることを祈っている。
③混文鳥
すでに文鳥の基本的な配色とはかけ離れて見える。基本色は白で、そこに所々黒や白の差し毛があるように見え、換羽によって純白とならない。
色彩が変化に富み個性的。
⚫文鳥の色の種類
交配想定表は以下を参考にして欲しい。(左が両親の外見、右が予想される子供の外見)
① 白文鳥
② 桜文鳥
③ ゴマ塩
④ シナモン
⑤ シルバー
① 白文鳥
Ww(血液型でいうとAA)もしくはwW(AA)/Wg+(血液型でいうとAO)
Ww/ww ×Ww/ww ➡ Ww型同士は25%未孵化
Ww/ww×Wg+
=白2:ゴマ1:未孵化1
=白2:ゴマ2
のどちらかになると思われる。
Wg+×Wg+ =白2:桜1:未孵化1
Ww/ww×ff =白4
Wg+×ff =白2:原2
Ww×g+g+ =白2:ゴマ2
ww×g+g+ =ゴマ4
Wg+×g+g+ =白2:桜2
Ww×gsgs =白2:ゴマ2⑨
ww×gsgs =ゴマ4⑩
Wg+×gsgs =白2:ダーク2⑪
Ww/ww×wg+
=白3:ゴマ1
=白2:ゴマ2A
のどちらかになると思われる。
Wg+×wg+
=白2:ゴマ1:桜1B
のどちらかになると思われる。
Ww/ww/
Wg+ff
出来なかったものは以下の通りだ。
Ww/ww/
Wg
Ww/ww/
Wg+ g+g+
Ww/ww/
Wg+ gsgs
Ww/ww/
Wg+ wg+
② 桜文鳥
g+g+ g+g+
=桜4
g+g+ff =g+f(原)4
g+g+ wg+ =桜2:ゴマ2
g+g+ gsgs =g+gs4
その他
その他の文鳥
wg+ ff =白2:原2
ff gsgs=gsf(原)4
wg+ gsgs=ゴマ2:ダーク2
ff (シナモン)×ff (シナモン)=ff (シナモン)
gsgs(シルバー)×gsgs(シルバー)=gsgs(シルバー)
なお、遺伝についての基礎知識は、新城明久『動物遺伝育種入門』(川島書店1992年)から得ている。独学で得ているものだ。間違っている場合は声をかけて欲しい。
――引用終了。
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