手のり文鳥

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手のり文鳥

数台しか無い社用車の中で、あまり自信が無いからオートマの白い車を選んだ。 助手席でカーナビをいじってる三竹は、出発の際のもんちゃくを忘れたかのように、ヘタレ運転手の私を上手く目的地まで誘導してくれた。 でも「文鳥達」にヒリヒリした態度で関わるなよと釘をさされ、二日目のツキノモノなのに、鈍感、馬鹿って思った。 そしてブリーダーさんの家の前に来た。一階が約二十畳ある、思ったより古建築(古民家)で、小柄な飼い鳥達の強敵の冬場の隙間風はどうしてるのだろう?と思わせた。 ブリーダーさんのお宅には数人の職人さん達と数十羽の親文鳥や雛文鳥が暮らしてた。 三竹は文鳥の気持ちが判るソロモンという事で静かに挨拶をし、お馴染みさん扱いしてくれた代表のおかみさんに、私の事を紹介してくれた。ソロモンって何?と思って三竹を見てると、親文鳥達が警戒して無いのがわかった。 私の小柄な鳥の知識では、あり得ないので、三竹の凄さを思い知らされた。 ただ照れる事に、おかみさんに「アレね、大丈夫?でも血の臭いで」文鳥達は落ち着くわよと耳もとで囁かれた。
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