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舐めろ
あれから1週間、俺は毎日蒼夜の家に遊びに来ては蒼夜に早漏の治療をしてもらっていた。
徐々にタイムは伸びていくものの、未だ5分持たない。
柿原と真鍋に「余裕だった」と嘘をつくと、2人はそれっきり話題にも出さなくなった。
話が流れるのは早い。
俺だけが未だ1週間前の話題のままで。
そろそろ2人の会話についていけなくなってきていた。
ガチャッ。
「おかえりー」
放課後は真っ先に蒼夜の家に行き、蒼夜が来るまでは漫画を読んだりゲームをして待っていることが多い。
「ただいま。はい、これ頼まれてた漫画」
「お!!さんきゅーー!」
ここには、何でも頼みを聞いてくれる蒼夜がいて、食べ物も飲み物もあって、うるさい母さんもいなくて、広いソファで思いっきりごろごろできる。
……なんて快適なんだろうか。
「朱里くん、何か食べた?」
「そこにあったバナナなら食べたーでもまだ全然入る!」
「ほんと? 実は今日取引先の人からケーキ貰ったんだけど、朱里くん食べない?」
「食べる!!! 何ケーキ?!」
読みかけの漫画をテーブルに放り、飛び起きる朱里。
「ショートケーキと、チョコケーキ。どっちがいい?」
蒼夜のいるキッチンの方へ行くと、そこには美味しそうなケーキが二つ。
「ショートケーキ!! やっぱ苺でしょ!!」
「あはっ。だと思った。そしたら運ぶの手伝って」
「おう!」
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