舐めろ

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 なんだこれ!?  今まで食べたことないくらい美味い!!  スポンジはしっとりふわふわだし、甘さ控えめのきめ細やかな生クリームが舌を包み込んで油分でぬるぬるになったところに苺の果汁が全てを流し込んでくれるっ……!!! 「美味すぎる……」 「ははっ。それはよかった。ゆっくり食べな」 「ん゛っん゛っ!!」  やべっ喉詰まらせたっ。  お茶お茶…… ーーーー「アチッッ!!!!」  ガシャンッ!  カップが思ったより熱く、思わず手を振った。  ーービシャっ。  するとその手は食べかけのケーキに突っ込み、手が生クリームまみれになってしまった。 「あ〜あ! はいっ、とりあえず水飲んで!」  蒼夜はテーブルの上にあった水を朱里の口に入れる。  ゴクッゴクッ。 「っん、ぷはっ!」  あぶねぇ、死ぬかと思った……。 「だめだろ、取っ手を持たなきゃ」 「いつもの癖で……」 「はぁ。火傷はしてなさそうだから良かったけど。手、汚れちゃったね?」 「ほんとだよ……あーあ、俺のケーキがああ!!」  ケーキは見事に朱里の手の甲の形に潰され、原形を留めていない。  まあ、味は同じか……  も勿体ないし……  ペロッ。 「ん、美味い」  ペロッペロペロッ。  朱里は自分の手についたクリームを舐め始める。 「……」  その姿をじっと見つめる蒼夜。 「……何だよ? 蒼夜もこっち食べたかった?」 「うん。朱里くんの手、美味しそうだなあって」 「は? 別に手はおいしくねーよ」
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