兄ちゃんが俺の奴隷になった日【完】

舐めろ

　手なんてしょっぱいだけだろ。

　ペロッ。

　うん。不味い。

　……なのに、なんでそんなにこっち見んだよ？？

　そんなにジッと見つめられると手だって恥ずいだろーが。

「…………蒼夜も、舐める？」

　だから、そんなに舐めたいなら舐めれば良い。

　ーーそう、軽く思ったのがいけなかった。

　手を蒼夜の方へ差し出してそう言うと、

「それは、命令？」

　なんて、嫌味なことを返されるから

「…………そうだよ。……舐めろ」

　その要望に応えてあげた。

　決して本心ではない。

　俺だったら人の手なんて舐めたくないし(クリーム付いていても)、ましてや兄弟の手なんて論外だ。

　それなのにコイツは物欲しそうにこっちを見てくるから、思わずコイツの欲しい言葉をやってしまう。

　蒼夜は俺の奴隷だと言うが、こんなん、どっちが主人なのかもはやわからなくなってくる。