人生やり直し計画

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 スマホのアラームで目が覚めた。  いつもより広くてふかふかなベッドから身体を起こし、感嘆のため息と共に伸びをする。  ……思いっきり熟睡できた。  寝る前は、悪夢を見るんじゃないか、一睡もできないんじゃないかと思っていたのに。    身支度を済ませリビングのドアを開けると、大きな革のソファーに横になり寝息を立てている門馬さんの姿が。  美しい寝顔を見て、申し訳なさと尊敬の念を覚える。  顔見知りというだけの、言ってみれば他人である私に、ここまで親切にしてくれるなんて。  夕べは私に自身の寝室を使えと言って聞かなかった。  そうでなければ隣で眠るぞ、と脅され、罪悪感を感じながらも門馬さんのベッドを借りたのだった。 「ん……」  寒そうに顔をしかめる門馬さんにハッとして、はがれていた毛布を肩までかけ直した。 『俺の家に置いてやる』  昨日、彼はあんなことを言っていたけど、酔いが回っての冗談だったかもしれない。  私だって、真に受けて本当にお世話になるつもりなんてない。  ……一宿一飯の恩返しだ。  そう決意すると、マンションを出てコンビニに向かった。 ────「おおお!」  一時間ほどして、朝食が出来上がったタイミングで門馬さんは目覚めた。  オムレツにトースト、コンビニに売っていたホタテの缶詰で作った即席クラムチャウダー。  テーブルに並べた料理を見つめ、門馬さんは目を輝かせる。 「朝飯作ってくれたのか!?」  彼は朝からテンションが高く興奮気味だ。 「勝手にキッチンお借りしてすみません。出過ぎた真似を」 「朝っぱらから謝るなよ。感謝する」  前開きのパジャマ姿でダイニングの席に着く門馬さん。  とまっていない第一ボタンからちらりと見える鎖骨、無防備な寝癖。  なんというか、寝起き特有の色気がすごい。  慌てて彼から目をそらし、コーヒーをカップに注いだ。  やっぱり早くここを出て行かないと、いろいろと刺激が強すぎる。 「お口に合えばいいのですが」  彼の前にコーヒーカップを置くと、上目遣いで微笑まれた。 「ありがとう!」  眩しい笑顔と真っ直ぐな「ありがとう」に心臓を射貫かれる。  なるほど、確かにこれは自己肯定感をかなりアップさせる効能がありそう。
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