第一章 魔法が生きる街ロマラン

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 今から二百年ほど前、ロバスト国は炭鉱で栄えていた。特に、ロバスト炭鉱会社の本社があったこの街、ロマランには多い時は十万人の炭鉱夫が働き、沢山の炭鉱住宅が建てられた。私の住む家も、元々は炭鉱住宅の一つだ。巨大な黒い山は炭鉱井戸を掘る時に出た土や石、石炭くずの集積地でボタ山と呼ばれていた。街のどの場所からでも見えるボタ山はこの街のシンボル的な存在だ。  そして、他国にはない特徴があった。元々、ロマランに住んでいた魔女オンブルは薬草学に精通していて、炭鉱で働く人々の病を治癒していた。オンブルの処方薬はたいそう効き目があり、怪我や病気の回復を早めるものだったそうだ。そこに目をつけた国王イアンが国中から集めた十名の魔法使いと優秀な二人の魔女を派遣し、オンブルの元で彼女の持つ技術を学ばせながら炭鉱で働く人々の労働と生活を支えた。そして長年、国に貢献した魔女オンブルを評価したイアン王は、魔法学校を設立し彼女を初代校長に迎えた。 「……オンブル魔法学校か」
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