第一章 魔法が生きる街ロマラン

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 思わず深いため息が出た。私もその学校に通う一年生だ。一応、入学試験にはパスしたものの、浮遊術にいたってはこの通りだ。両親は普通の人間だけどお母さんは魔女の大ファンで、魔女が出てくる絵本をよく読み聞かせしてくれた。私は絵本に出てくる浮遊術の呪文を唱え、棚に並ぶぬいぐるみを片っ端から落っことしてお母さんを驚かせたという。その時からあまり実力が変わっていないとしょげる私に、お母さんは大体のことは知恵と努力と愛嬌で何とかなるものだと笑った。 「まだ一年目だもんね」  気を取り直して、お母さんの用意してくれた朝食を食べることにする。大きな鍋にはカブと干し肉のスープがたっぷり入っていた。 「いい匂い」  とたんにお腹がぐうと鳴った。
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