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お母さんはお祭りのために昔の魔女達の食事についてありとあらゆる文献を読み、再現料理を作ろうとしていた。ハーブや香辛料、肉の調理法まで調べては試食を重ね何とか料理を完成させた。一度、魔女のスープのレシピ通りに毒草や蛙を集めようとして、お父さんが必死に止めていたのを思い出す。お母さんは凝り性な上に猪突猛進の努力家で、魔女の料理を作る為に猟師の資格を取って私やお父さんをびっくりさせた。実は私も少しだけその気質を受け継いだ。浮遊術や変身術の実技はともかく、薬草学や魔法史のレポートは今のところ良い成績をおさめている。料理もお母さんの熱量に感化され少し興味が出て来たところだった。
「うん、美味しい」
とろけるまで煮込んだカブも、ほろほろに柔らかくなった鹿の干し肉もとても美味しい。貴重なタンパク源だったらしいひよこ豆はちょっと苦手な食感だったから、内心ほっとした。硬く焼かれたライ麦パンは、千切ってスープに浸して食べる。一度、そのままパンに齧り付いて、硬すぎて前歯が折れるかと思った。保存料がなかった昔は、日持ちする様にわざと硬く焼いていたらしい。
「イベントもお店も沢山で迷うなあ」
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