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立花の秘密
以前のように、立花の家はとても綺麗に整頓されており、品のいい調度品が並んでいた。
き、緊張する……。
心臓の音が立花に聞こえるのではないかと思うぐらい、ドキドキした。
「佐々木さん、コーヒー飲まれますか?」
「い、いえ……わたしは、大丈夫です」
緊張のあまり、真司の声が裏返る。
「では、ソファーで少し待っていただけますか? 急いで着替えてきます」
「は、はい!」
笑顔のまま、立花が部屋を出る。
はぁ〜〜。
立花が部屋から出て行き、真司は緊張から解放された。
普通の服装もカッコ良かったけど、やっぱりスーツ姿もカッコ良かった。
立花さんに、似合わないものなんてあるのだろうか……。
それより、手土産渡すタイミングっていつ!?
調べてこればよかったー!
真司は、一人浮かれたり、焦ったり。
「お待たせしました。って、佐々木さんどうされましたか?」
立花は、焦りすぎて部屋の中をウロウロしている真司を見て、驚いたんだ。
「い、いえ! なんでもないんです! あの、こ、これ、ありきたりなものですが……」
真司は手土産の入った袋を立花にぐっと差し出した。
「ありがとうございます。あ、このチーズ、ワインによく合うんですよね。佐々木さん、ご存知だったんですか?」
「いえ……あの……受け売りです」
店員さんに聞きまくって決めたチーズ。
だから、本当に受け売りなんです。
今度はちゃんと勉強してきます!
って、俺もう次あるって思ってる!?
「後でお出ししますね」
立花が大きな冷蔵庫を開けると、中にはびっしりと料理が入っていた。
「わぁ、すごい! 凄くたくさんのお料理、作られたんですね」
真司の素直な気持ちが声に出た。
「もしかしたら……もしかしたら、佐々木さんとお食事できるかな……と思い……沢山作りすぎてしまいました」
「どれも綺麗で美味しそうですね」
「見た目だけですよ」
立花は少し照れた。
「あの……俺にできる事はありますか?」
料理、適当なものしか作れないし、テーブルセッティングなんてしたことないし、何から手をつけたらいいのかさえわからないけど……。
言われた事は精一杯する!
「あとは温めるだけなので、座っていてください。すぐにお持ちします」
テーブルの上を見ると、すでにセッティングされており、あとは料理を運ぶだけになっていた。
なんと、手際がいい!
やはり、仕事が出来る人は違うな。
真司は関心しながら席についた。
「お肉とお魚、どちらがお好きですか?」
「?」
「佐々木さんがお肉とお魚、赤ワインと白ワインどちらがお好きか分からなくて……」
「?」
「それで、どちらでも大丈夫なように、どちらも用意したんです……」
「え!? 両方ですか!?」
「はい……両方……」
肉と魚料理どちらもなんて……。
どれほど時間をかけてくださったのか。
「もちろん、両方いただきます!」
「え? でも、量…多くなりますよ……」
立花は少しすまなさそうだ。
「立花さんが作ってくださったものは、全部いただきたいです!」
「では、用意しますね」
嬉しそうに笑いながら立花はキッチンに向かった。
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