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家に着くなり裕太と恒太は、私の気など知らずに「ディスクどこにあるの?」とせっついてくる。
もう二年になるのだ。
いつまでも逃げていちゃダメだよね。受け入れないと…と、仕方なく腹をくくった。
「まずは靴をそろえて、手洗いうがい。それからだよ」と、いつも通りの私を装う。
二人は『はぁーい』と良い返事をして、テキパキと動いた。
私はリビング横の和室の押し入れの中にしまい込んでいたプラスチックケースの中から、ディスクファイルを取り出した。
それは、一ページが縦に二枚収納できるタイプのもので、全部で二十枚保存できる。すでに全部のポケットにディスクが入っており、それなりの重量感だ。私がそれを裕太に手渡すと、裕太は「どれどれ」と自分の幼稚園時代のものを探した。
「これかな…」
「にーちゃん、早く!」
ディスクの表面に印刷された小さなサムネイル写真をヒントに、発表会のディスクをプレイヤーにセットした。
テレビの真ん前で二人並んで正座をし、映像が流れだすのを待ち構えている。
私はそんな二人の背中を眺めながら、シュルルルル…と、ディスクが回転し始める音を聞いて鼓動が早くなる。
そして、すぐにディスクの回転音が聞こえなくなり、テレビ画面がパッと暗くなった。それからガサゴソガサゴソする音がして、「あ、ヤベ…録画ボタン押してた」と、耳馴染みのある低音の声。
ずっと聞きたかった、恭太の声。記憶頼りの声ではなく、直接耳に届く二年ぶりに聞く声だ。
あぁ、恭太…
私は口元を手で覆って、漏れ出てしまう声を必死で堪えた。
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