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 「コタ泣かなかったよ!えらい?」  発表が終わり、解散となって恒太が私の元へ駆け寄ってくるなりそう尋ねてきた。  「うん、頑張ったね!」    そう言って、私はまた目頭が熱くなる。ギュッと恒太を抱きしめて、頭を優しく撫でた。そして、先程ハンドベルが当たった所が怪我になっていないか心配になり、柔らかい髪の毛をかき分けてチェックしたが、特にコブも傷も出来ていなかった。  遠目にはベルが当たったように見えたが、もしかしたらケンジ君の拳が当たっただけなのかもしれない。  「コタ、お前やるじゃん。カッコ良かったよ!」  裕太も恒太の勇姿を褒めると、恒太がふへへと得意気な顔をした。  そうしていると、ケンジ君とケンジ君の両親が、私たちの元へ謝罪に来てくれた。担任のあゆみ先生も「こんなハプニングが起こるなんて」と言いながら、恒太の頭の心配をしてくれた。  「みんな失敗しないで、練習通りにできて良かったね!」  そう言ってニシシと笑う恒太につられて、恒太を心配して来てくれた先生方やお友達が一斉に笑顔になった。  私はそんな様子を見て、とても誇らしい気持ちになった。      
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