いい夫婦の日

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私は気を取り直して、 4冊目の「30〜40代」編に目を向ける。 誰もが一度は使ったことのある、黄土色の方眼ノート。 この辺りから、息子の使わなくなった余り物のノートを使用して、日記を書き始めたようだ。 夫婦の歴史がどんどん 雑になる。 読むと、あの日の情けない気分が鮮明によみがえる。 今日の夕飯、作る気が失せてくる。 いやいや 本来の目的を忘れてはならない! 「いい夫婦」には感謝の気持ちが必須だ。 目指すは1000円クオカード 4冊目 いってみよう! 今まではかろうじて ボールペン書きだったのに 、 ついに鉛筆の走り書きになった。 線も 赤、 青 、黄色と3色になり、文字もびっしり書きつづられてある。しかし、「つらい……」 から始まる日記っていったい…… 「受験 ……つらい つらい 。成績上がらない」 そうでした。息子の高校受験 。 死ぬほど辛かった……。 「向上心が全然ないから勉強しない」 と息子への文句が恨みごとのように連なっている。 今思うと、 私が受験するわけではないし、 志望校を高望みしなければ、どこか合格できるように 先生も全力で面倒見てくれると理解できるが 、 当時は本当に必死だった。 しかし、重要なのはここではない。 赤線を引かれた部分は夫への文句だ。 しかし 多いな。これ全部、誠司のこと? 子供の受験なのに? とりあえずコーヒーを用意して、気持ちを落ち着けるために一口飲んだ。そして、気合を入れて 私は 続きを 読み始めた。
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