50人が本棚に入れています
本棚に追加
高校受験 2月2日
ついにこの日がやってきた。
滑り止めの私立高校。
もはや 公立高校は冒険だと先生から言われたので、今日の私立だけは絶対に外せない。
塾でも 似たようなこと言われた。
高い金を払って 通わせたというのに、
こいつは なぜ……。
同じ考えがぐるぐると 頭を回る
「お母さん 前を向いて考えましょう。
人生長いんです。お子さんはまだ10代なんです。
これからいくらでも挽回できますよ」
おいおい !公立高校落ちる 前提になってません!?
私立、お金かかりますよね、
先生 私たちも生活があるんです !
本当は レベル下げてでも公立高校がいいんです!
残念ながら私の切実な叫びは息子には届かない。
迫り来る 不安を一人で抱えきれないため、 夫に相談するが特に動じる様子もなく
「こいつの人生だから仕方ねえだろ?」
と、まるで他人ごとのような返事が返ってくる。
菓子食べながら言うなよ!
心の中で夫を張り倒す 日々が続いた。
そして迎えた受験当日 。
天気も悪く どんよりしている。
私の心も真っ暗だ。
それでも朝5時から起きてお弁当を作る。
初めての受験、先輩のママさん達から聞いてはいたが、これほどまでに親の心を削るのか。
ピーっと 炊飯器が鳴って、お米が炊きあがる。
ボールに炊きたてのご飯を移し変えて冷ましていると、2階から物音が聞こえる。
お!起きたんだ!そりゃ 受験だもんね。
優しくしてやろう。
きちんと 送り出してやろう。
怒ってはならない私!
自分に言い聞かせながら 平常心を保つため、あえて 目を合わせず「おはよう」とだけ言う。
しかし、顔を上げたら夫が目の前にいる。
なんということだろうか
あんなに興味なさそうだったのに
受験当日だけ起きてきた!
最初のコメントを投稿しよう!