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まだ婚約した段階なので、これから色々動いていくところだ。
「ついにですね。こうなるだろうなと思っていました。僕も嬉しいです」
「あ、ありがとうございます」
「結婚式を挙げるなら、ぜひ呼んでくださいね」
にっこり笑って言ったのに反応したのは碧人だ。彼は驚いた顔で東野さんに尋ねる。
「来てくれるの?」
「当然ですよ。あなたの秘書として、そして友人として」
さらりと言った言葉に、碧人が息を呑んだ。友人、という響きに驚いているのかもしれない。私はそんな彼を見ながら笑った。
二人は周りから見ると、どう見ても仕事仲間なだけじゃなくってかなり仲のいい友達に見える。でも本人に自覚はなかったようだ。友達は一人もいない、なんて嘆いていた頃もあったもんな。
碧人は一瞬戸惑った様子だったものの、すぐに優しい声で答えた。
「ありがとう、必ず」
「はい、お待ちしています」
東野さんはそう言うと、私たちにひらひらと手を振って去って行ってしまった。その後姿を見送った後、ゆっくり車に向かって歩き出す。
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