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「ですから、私に言われても。碧人さんに言えばいいじゃないですか。あ、もう言ったけど拒否されたんですよね」
平然と言い返す私に、相手は信じられない、というように目を丸くした。
「態度も言葉遣いも悪いなんて……! 本当に、碧人は一体あなたのどこがよかったのかしら。騙されてるんだわ、あの子は経営の才能はあるけど、心はちょっと幼い所があるから……」
「あの、そりゃ確かに私も自分が秀でた人間じゃないとは思います。でも、自分の子供が選んだ相手をそうも嫌いになる理由はなんですか? 碧人さんを信じていないんですか?」
不快感を隠さずにそう聞くと、母親はすっと目を細め、勝ち誇ったような表情で言う。
「あの子は私がついてないとダメなんです。それを碧人も分かってる。今はあなたの味方をしているけど、すぐに目が覚めますよ。あの子は私に褒められることが何より幸せなんです、きっとすぐに私の言うことを聞くようになるわ」
心にもやっと、黒い塊が生まれた。
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