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幼い頃碧人にあれだけの仕打ちをしておいて、どの口が言うの? ああそうか、依存しているのは碧人だけじゃない、この母親もなんだ。碧人がいつまでも母の愛を求めてばかりいると思ってる。
どれだけ邪険に扱ってきても、自分に認めてもらうために勉強を頑張り続けた。会社の危機には立て直しもした。いつだって自分の期待に応えてくれる、いい人形と思っているのだ。
テーブルの下にある拳を強く握りしめ、爪が手のひらに食い込んだ。
「……碧人は人形じゃない。彼は確かに、ずっと飢えていたあなたからの愛にとても喜びを感じていました。でも、碧人ももう大人です。いつまでもあなたの操り人形だと思わないでください。そもそも、幼い頃碧人にあんなことをしておきながら、母親面するつもりですか?」
向こうがカッと顔を赤くさせたが、私はなおも続けた。
「子供は所有物じゃない。碧人を思うなら思い通りにさせるんじゃなく、彼の意思を尊重して成長させてあげてください。あなたのそれは愛なんかじゃない、それを碧人もすぐに理解します」
「黙りなさい!」
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