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「えっと、今回はどうしてまた碧人の結婚相手に?」
「簡単なことです。私がまだ碧人さんを好きだからです」
ぴたりとコーヒーを飲む手が止まった。長坂さんは微笑んでこちらを見ている。
「……でもあの、碧人から聞いたんですけど、半年くらい前に自然消滅したって聞いてます。好きなのにどうしてそんな終わり方を?」
「ああ……実は私、つい最近まで留学していたんです。遠距離になって、私も忙しいし碧人さんも忙しくて、すれ違って……いつからか、碧人さんから連絡が返ってこなくなりました。終わったのかな、って悲しんでたけど、帰国してから一度ゆっくり話したかった。それで帰ってきたところで、偶然にも碧人さんとの縁談の話があって驚いたんです。運命ってあるんだなーと、嬉しくなっちゃいました」
顔を綻ばせて両手で頬を包む長坂さんを、私はじっと無言で見続ける。
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