いいものみつけた

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天使さまは平和を愛する優しい方です。だからこそ、無闇に他の世界に手を出す事はなさいません。 世界から争いを全て、悲しい事や辛い事を全て無くす事が平和とは限りません。そこに住む者たちが努力や労働などの大切さも一緒に忘れて堕落してしまうかもしれません。 正義の為に止むを得ず戦う事も、武器を手にする事もあります。 しかし天使さまの一番の武器は、やはりその白い翼に似合う清らかな心であって欲しい。 何者にも侵せない、揺るぎない、清く正しい心であって欲しい。 そうではありませんか? そんな天使さまの坊やならば、きっと私達が見たどんな青空よりも、きれいで澄んだ心を持っている事でしょう。 どんな魔法より魔法の様な光を放っている事でしょう。 坊やのズボンのポケットはちょうど空っぽで、美味しいキャンディも素敵なおもちゃも入っていませんでした。 天使さまにだめだと言われたけれど、その小さな星はとてもきれいです。 坊やは内緒で星を優しく握ってポケットに入れて撫でてあげます。 すると星はとても居心地が良さそうに輝きを増したのです。 だから坊やは微笑みかけました。 「一緒にいてよ。僕たちはもう友達だよ」 だから、坊やが知らないうちに、ポケットの中では奇跡が起きていたのです。 ☆ 「──よし!今日ここを脱出する。息子よ、覚悟はいいか?」
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