いいものみつけた

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海を見渡す高い塔の上に作られた牢屋の中。 鉄格子の向こうで潮風がびゅうびゅう唸るのを聞きながら、父親は息子に言いました。 「ああ、僕達は何も間違った事はしていないんだ。こんな所に閉じ込められるなんておかしな話さ!」 二人の瞳に宿るのは強い意志。 いつの間にか自分より背が高くなっていた息子は、父親にとって今や誰より頼れる仲間です。 父親は高名な発明家でした。王様に様々な便利な発明品を献上し、依頼されて醜悪な魔物を封じ込める巨大な迷宮までも制作しました。 しかし、当然その迷宮を抜け出す方法も知っているため、秘密を漏らさない様に息子と共に牢屋に閉じ込められてしまったのです。 「いいものを見つけたぞ」 ある日、二人は牢屋の窓に海鳥の羽を見つけました。 それから毎日、自分たちの食事を分け与えて鳥を誘い、落ちた羽を集めてろうそくのろうで固め始めたのです。
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