夫婦ノートに花束を

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『晴菜が流産した。初期の流産はよくあることだと医師から説明があったが、どうして俺たちの赤ちゃんなんだろう。晴菜に何て声をかけてやればいいんだろう』  私はこの時も酷く陽太を責めた。 『陽太が洗濯も掃除も料理もしてくれないから、全部私がやって、仕事もして無理したせいで……赤ちゃんが……』  陽太のせいじゃないなんて分かってた。それでも妊娠した時、あまり嬉しそうに見えなかったことと、家事を手伝ってくれない陽太に腹を立てて、赤ちゃんを流産してしまった悲しみを全部陽太にぶつけてしまった。陽太は何も言わずに黙ったまま、泣き叫ぶ私の背中を摩ってくれていたのを思い出す。  『赤ちゃんのことをうまく慰めたいのに、相変わらず晴菜泣いてばかりだ。もっと上手く言葉が出て来ればいいんだけど。晴菜の体も凄く心配だ。仕事復帰は少し先にしたらどうかと話したが、意地っ張りな晴菜は来週から復帰すると言ってきかない。俺に何がしてやれるだろう。晴菜は俺と結婚して幸せだろうか』  私の目から溢れた雫で、ノートは水玉模様であっと言う間に埋め尽くされる。  最後のページは昨日の日付だ。
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