記憶の欠片を探して

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 学校へ着くと、幼馴染みの(たく)が彩を持っていた。 「あれ?拓、朝練は?」 「お前んとこと同じで、こっちも休み。……彩、今日遊園地いかね?母さんが無料チケット貰ってきた」 「行く行く。でもさ、別に今日じゃなくてもいいんじゃないの?明後日なら休みの日だし」  彩は下駄箱に靴を入れた。彩たちの学校の下駄箱は蓋がない。木で四角に組まれた空間に靴を入れるだけ。漫画で読むようなロマンチックさがない、と彩は思っていた。 「それが明日の午前中までなんだよ。明日行けないから今日行こうぜ」 「そうなんだ。いいよ。今日暇だから。……それを言うためにここで待ってたの?」 「……悪いかよ」 「悪くない悪くない」  少し拗ねたようにする幼馴染みに、彩は答える。そのまま二人は教室へ行った。  放課後。電車でしばらく行ったところにある遊園地に二人は来ていた。 「やっぱり遊園地ってさ……」  拓がそこまで言ってやめる。しかし拓の言いたいことは彩に伝わっていた。  右を見ても左を見ても、カップルばっかりなのである。  放課後ということで、圧倒的に制服を着た者たちが多かった。そして、周りからみれば彩たちも例外ではないだろう。 「気にしない気にしない。まずは何に乗る?」  実は拓からしてみたら気にしてほしい話なのだが、彩はそんな事を知る由もなく、マップを広げている。 「まずはあれだろ」  拓の指差す先にあったのはジェットコースターである。彩はうなづく。 「そうだね」 「終わったらお化け屋敷だな」 「それは却下」  彩はジェットコースターに並び、拓はそれを追いかけた。
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