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パン、パン。
大きく両手を打ち深く頭を下げる。
良子はここの神社が好きだ。
普段はもっと空いているからゆっくりお参りできるが、今日は初詣だから人でごった返している。
でも、人々が寒さに震えながらも行儀良く横一列になって自分の参拝順を待っているのも、良子には何だか好ましく感じられる。
良子は浩二と美玖に五円玉を渡す。
夫は財布さえ持ち歩かない人だから仕方ないとして、美玖はもう社会人になったのにこういう時はすかさず手を出す。
五円すら自分の給料からは惜しいみたいだ。
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